「森守れ」と住民巡回 やんばるの重要性確認


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林道を散策しながらパトロールする住民ら=16日、国頭村

 【国頭】本島北部やんばる地域で希少な動植物を守ろうと、各集落の住民らによるパトロール活動が行われている。貴重な動植物の密猟や盗掘被害防止を目的としながら、参加者は林道を散策してやんばるの森を五感で堪能。世界遺産暫定リスト入りするなど、世界的にも貴重なやんばるの森の重要性を再確認する場となっている。

 活動は環境省やんばる野生生物保護センターが進めるもので「やんばる国頭の森を守り活かす連絡協議会(CCY)」や地域住民が協力し、これまでに国頭村奥、辺野喜、与那と大宜味村田嘉里で実施。同センターの滝澤玲子自然保護官は「巡回を通し、地域のことを知るきっかけになってほしい」と期待する。
 16日に国頭村与那で行われた活動には住民ら10人が参加。参加者はパトロールしながら、CCYの山川安雄副会長ややんばるの自然に詳しい新星出版(那覇市)カメラマンの村山望さんから説明を受け、樹上に潜むオオコウモリの姿や繁殖期を迎えたイシカワガエルの鳴き声を確認した。
 母親と参加した国頭中2年の大城杏さん(14)は「生き物がいっぱいいそうで参加したかった。いろんな生き物の鳴き声が聞こえて良かった」と満足げな表情で語った。
 巡回を終えた参加者は、同センターが集落の共同売店などに設置した掲示板に、確認した動植物やごみなどを記した。掲示板は住民らが自由に書き込むことができ、地域自然の情報を共有する役割を果たしている。
 3回目の参加という同村与那の宮城守さん(51)は「植物を盗もうとする怪しい人を実際に見たことがある。やんばるを守るためにも今やらないといけない」と力を込めた。

英文へ→Residents patrol Yambaru forest