英語通し、アジアと交流 恩納村小中校テレビ電話授業


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意識高まり、子どもに自信
 【恩納】国際社会で活躍できる人材を育成しようと、恩納村内の全小中学校で2011年からインターネットのテレビ電話を活用し、アジア諸国の小中学校と国際交流を深める授業に取り組んでいる。村内だけではなく、交流先の台湾やマレーシアなどの校長や教諭も「生徒の自信につながる」と評価し、授業継続に意欲を示している。村教育委員会も県内の先進事例として継続・発展させたい考えだ。

 交流授業の相手校は、台湾の嘉南國民小學校、官田國民中學校、中興國民小學校、マレーシアのバトゥカワン中等学校とブキット・メルタジャム中等学校、タイのラチャウィニット校の6校。恩納村も含めて各学校が英語を第2外国語としており、テレビ電話の授業も初めての取り組みだ。
 授業は、バックパッカーや青年海外協力隊員として世界を渡り歩いた村教育委員会嘱託のコーディネーター本田勝也さんが企画。村内の児童生徒に、英語を学び、アジアなどの国際舞台に飛び出す意欲を持ってもらいたいと、相手国の学校長とじかに面談するなどして呼び掛けてきた。

共に考え、学ぶ
 交流授業を始める経費はパソコンにつなぐカメラ購入費だけと安価だが、交流内容は自己紹介やクイズ、調理実習で自国の料理を紹介し合うなど多彩だ。双方の英語レベルに差がないため、村内の児童生徒も発音を間違えてもあまり恥ずかしがらず、英語を話すことの気後れも少ない。相手校の反応も映像で見えるため、児童生徒は共に考え、笑い合いながら学んでいる。
 官田國民中學校の劉財坤(リュウツァイクン)校長は「生徒も興味を持って楽しんでおり、取り組みを拡充したい。他の学校長も関心を示している」と評価する。バトゥカワン中等学校のロハニー・イスマイル教諭も「交流授業は人気で希望者も多い。生徒の自信につながり、語学力の向上に役立っている」と話す。
 評価される一方で課題もある。相手校のインターネット環境に左右されるほか、学習指導要領との連携が必要だ。恩納小中学校の宮城みゆき校長は「通常授業に組み込むだけでは、子どもたちや先生にやらされ感がでる。効果的にやることが重要」と指摘する。同校は本年度、文部科学省から英語教育課程特例校の認定を受けており、4月から英語の授業を増やす際、交流授業も年間授業計画に組み込む。

英語を糧に世界へ
 喜瀬武原中学校の伊佐和香乃教諭は、相手校との連絡調整役は現場の教諭では難しいとしながらも、「英語は話さないと伸びないため、学んだ分を話せる交流授業は効果的」と話し、ALT(外国語指導助手)との相乗効果を期待する。
 同授業が広がることに本田さんは「児童生徒の楽しそうな反応を見ると、英語を糧に世界で活躍してほしいと強く願う。また、世界の子どもたちがお互いを知る良い機会になってほしい。そのためにも、アイデア次第で広く活用できる、アジア諸国と日本の学校が互いに結ばれる交流ネットワークにしたい。将来的には県内校と外国校を結ぶコーディネーターを増やし、交流授業を広めていきたい」と熱く語った。
 交流授業の内容は、村内各小中学校のホームページなどで閲覧できる。(嘉陽拓也)

交流授業で、会話をサポートする本田勝也さん(右)=7日、仲泊小学校
官田國民中學校の劉財坤校長
バトゥカワン中等学校のロハニー・イスマイル教諭