名護漁協に同意求める 辺野古埋め立て


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 【名護】米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、沖縄防衛局(武田博史局長)は26日午前、名護漁業協同組合(古波蔵廣組合長)に公有水面埋め立ての同意を求める文書を提出した。

漁協の総会で承認を得る必要があり、同漁協は近く臨時総会を開く。古波蔵組合長は「99%同意が出ると思う」との認識を示している。同漁協は総会を経て同意書を防衛局に提出する見通しだ。名護漁協から同意取り付けに着手したことで、政府は仲井真弘多知事に対する埋め立て申請に向けた準備を加速させている。
 出張先の東京で、古波蔵組合長は同意の判断について26日、記者団に「できるだけ早めにやる」と述べ、来月、総会を開き決定する見通しを示した。防衛省は同日、「埋め立て承認願書の提出までに同意を得られるよう努力する」としたが、小野寺五典防衛相は同日の閣議後会見で、埋め立て申請の時期を明確にしなかった。政府内には今週にも申請すべきとの声もある。
 仲井真弘多知事は同日、記者団に「これ(同意するか)は漁協の判断なので、私がここで示唆する立場ではない」とした上で「県としては現行案は事実上不可能、県外移設を求めるという立場に変わりはない」とあらためて述べた。
 名護漁協によると、防衛局職員2人が午前9時前、競り中の担当職員を訪ね、同意申請書の入った封筒を手渡した。同意申請書はA4判1枚。普天間飛行場代替施設建設について「埋立の実施に際し、埋立等予定区域内に有する漁業権等の一部を消滅させていただく必要がある」と記述し、組合の同意を求めている。
 小野寺氏は閣議後会見で「埋め立てには名護漁協の同意も必要だ。沖縄の基地負担軽減のために、日米合意に基づいて対応したい」と述べた。今後、漁業補償の金額などについて具体的な協議に入る。知事への申請は名護漁協の同意がなくても可能だが、知事が埋め立てを許可するには漁協の同意書が必要となる。