32軍壕 当面埋めず 県、維持管理 再検討へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄戦当時、首里城地下にあった旧日本軍第32軍司令部壕の維持管理の在り方を検討していた県環境生活部(下地寛部長)は27日までに、壕内の地質が緊急に埋め戻しなどの対策が必要な状態にないため当面、埋め戻しをしない方針を決めた。

今後は地質や土の水分量などの基礎データを収集し、県教育庁が2015年度まで実施する戦争遺跡詳細確認調査の結果も踏まえ、維持管理の在り方を再検討する。
 壕の維持管理を担当する同部平和男女共同参画課は「教育庁がもし戦争遺跡の指定を目指す方向を出せば、遺跡として保存の方法を考えることになり、行政の所管も変わる」と述べ、教育庁の調査結果が維持管理の判断に影響するとの考えを示した。
 同部は崩落場所や酸素量の薄い場所があるため、一般公開は不可能と判断した。同課は昨年、日本工営沖縄事務所に委託し、壕の安全面を確認する調査を始めた。同年11月から1月にかけて調査内容を土木工学やトンネルに詳しい専門家に検討してもらい、今回の方針を出した。
 沖縄大学客員教授の新城俊昭さん(歴史教育)は「埋め戻しを心配していたので安心した。一般公開は不可能としたが、一部でも公開する工夫はできないか」と受け止めた。その上で「(日本軍は)この壕から沖縄戦を指揮しており、平和教育にとって重要な場所だ。壕の役割を説明する施設も整備できないか」と求めた。