「主権回復」式典を決定 4・28「屈辱の日」


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 【東京】政府は12日の閣議で、1952年のサンフランシスコ講和条約発効が「主権回復の日」に当たるとして、61年を迎える4月28日に、政府主催の式典を都内の憲政記念館で開くことを決定した。

自民党が昨年の衆院選公約に掲げ、実現を目指していた。沖縄を日本から分離して条約が発効した4月28日は県内で「屈辱の日」と呼ばれており、県議会の野党・中立会派が中止を求める抗議決議提出に動くなど、反発の声が強まっている。
 政府は式典の準備室を官邸に設置。沖縄を含む都道府県知事らにも出席を要請する方針だ。式典には天皇、皇后両陛下も出席する。お言葉については調整中。
 安倍晋三首相は12日の衆院予算委員会で、県内からの反発に「沖縄の皆さんに説明を尽くしたい」と述べ、式典の意義などを県側に説明し、理解を得る意向を示した。
 さらに「まず独立を回復しなければ(沖縄返還に向け)米国と交渉することもかなわなかった。苦渋の判断と思う。その判断が沖縄の復帰につながっていった」と自身の考えを強調。講和条約発効により沖縄が米施政権下に置かれたにもかかわらず、本土復帰につながったとする首相の認識は、県内で波紋を広げる可能性もある。
 首相は、閣議で式典開催決定に際し、「奄美群島、小笠原諸島、沖縄が戦後の一定期間、施政権の外に置かれた苦難の歴史を忘れてはならない」と強調。「沖縄の抱える基地負担の軽減に取り組むとともに、わが国の未来を切り開く決意を新たにすることが重要だ」と述べた。政府は式典開催を今年に限る方針だが、菅義偉官房長官は閣議後の記者会見で「完全な主権回復、国際復帰から60年(を超えた)という節目を記念して開く」と述べた。
 同条約は終戦から6年後の51年9月に調印。52年4月28日に発効し、日本は主権を回復した。ただ、沖縄は1972年の本土復帰まで米施政権下に置かれた。

◆知事「全く理解不能」
 【東京】政府が、1952年にサンフランシスコ講和条約が発効した4月28日に政府主催の式典を開くことを決定したことについて、上京中の仲井真弘多知事は12日、日比谷公園で「全く理解不能だ」と不快感を示した。
 政府は全国の都道府県知事にも出席を求める意向だが、出席するかどうかには「全然考えてもいない。(開催意図などが)ちょっとよく分からない。皆さんの意見などを聞いて判断したい」と述べるにとどめた。
 仲井真知事は、講和条約について「奄美、小笠原もあったが、(発効した日に)沖縄は置いていかれた」と指摘。「今ごろ(開催するのは)何なのか。理由が分からない」と述べた。