世界連盟 空手指定形、廃止へ


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 2020年夏季五輪での実施競技入りを目指す世界空手連盟(WKF)が今年1月、形競技のルールを変更した。指定形をなくすことなどが改正点で、全日本空手道連盟(全空連)では、新ルールを適用するかどうかについて、今後議論を深めていく予定。

関係者からは「伝統空手の本質を失うのではないか」と懸念する声も上がっていることから、全空連中央技術委員長の佐久本嗣男氏が中心となって、基本的な空手道形のマニュアル作りを進めている。佐久本氏は「伝統空手の理念を継承し、選手、指導者、審判の資質向上に役立てたい」と話している。
 形競技の新たな改正点は、得意形の中にその他の流派の形も含め競技を行い、形リストは規定の中から省く―などというもの。佐久本氏はWKFの技術委員会委員長も務めるが「形リストがなくなることで、伝統形という定義自体が揺らぐ可能性もある」と懸念する。
 マニュアルでは、形リストを残した上で、誇張動作をせず、必要最小限の動作で攻防を行う―など武道の本質を説き、突きや受け、蹴りの正しい動きや呼吸法を示す動画も製作している。来月の全空連中央技術委員会に評価基準書として提示し、全空連が監修した上で、今後WKFへも提案する予定だ。佐久本氏は「沖縄は空手の発祥地であり、WKFの形リストは日本のものを使ってきた経緯もある。日本が世界をリードしなければならない」と話す。
 WKFは昨年1月、観客に分かりやすくするため組手競技のルールを変更。日本国内では、今年4月から組手競技の新ルールが適用される。