国、賃借料年500万円 与那国自衛隊用地


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 与那国島へ陸上自衛隊沿岸監視部隊を配置する計画を進めている防衛省が、部隊用地として同島南牧場の20ヘクタールを年500万円で借り上げる計画を立て、町に提示していることが17日までに分かった。

これに対し、町側は年1200万円の借地料と、迷惑料などとして10億円を要求し、交渉が難航している。防衛省は本年度中に用地を取得する予定だが、金額の隔たりが大きく、来年度以降にずれ込む可能性が出てきた。
 関係者によると、防衛省側は年500万円で小中学生の給食費無料化、島外で出産しなければならない妊婦の渡航費用に充当できるなどと提案している。町は自衛隊誘致の目的に経済効果を挙げているため、年500万円では町民の理解が得られないと算段し、上積みを要求したとみられる。
 防衛省は本年度予算で用地取得費として10億円計上。費用には現況調査、敷地造成に係る実施設計、移転補償費などが含まれていて、これまでに南牧場やインビ岳西側周辺の測量調査を実施してきた。陸自沿岸監視部隊のほか、空自移動警戒隊の配置も検討しており、全体では南牧場の20ヘクタールを含む約26ヘクタールの取得を目指している。
 防衛省は2012年度に用地を取得し、造成工事を開始し、15年度までに部隊配置を完了する計画を11年11月の住民説明会で説明していた。13年度予算案では監視装置取得費などとして62億円を計上している。
 与那国島への自衛隊配置をめぐっては、町民が誘致推進派と反対派に分かれ、双方が活動を展開。推進派の中には経済効果を期待する声も多く、防衛省と町の交渉次第では町内世論にも影響を与えそうだ。