防衛省、年度内取得を断念 与那国の陸自部隊用地


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 【東京】防衛省は21日、与那国島への陸上自衛隊沿岸監視部隊配備に向け、目指していた2012年度中の用地取得を断念し、来年度以降とする方針を固めた。同省はことし8月に与那国町長選を控えていることから、選挙後に用地取得に向けた本格的な交渉に入る構えだ。

本年度予算に10億円を計上しているが、既に執行している測量調査費などを除く、用地取得費(1億5千万円)と移転補償費(5億5千万円)などを13年度予算に繰り越す事務手続きに入る。
 防衛省は、部隊用地として同島南牧場を年500万円で借り上げる計画を提示。これに対し、町側は年1200万円の借地料と、迷惑料などとして10億円を要求している。防衛省の左藤章政務官が20日、与那国町を訪問し、外間守吉町長と協議したが、折り合いがつかなかった。防衛省は、町長選の動向も見ながら、調整していく方向だ。
 君塚栄治陸上幕僚長は21日の会見で、12年度中の用地取得について「調整状況を踏まえると、かなり難しくなっている」と述べた。15年度末までの部隊配備完了については「影響はある」とし、「まだ3年あるので計画通り配置するよう努力したい」と強調した。