辺野古埋め立て申請 国が県へ文書提出


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 沖縄防衛局は22日午後3時40分、米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設に向けた公有水面埋め立て承認申請書を名護市の県北部土木事務所に提出した。

申請書には埋め立て水域の漁業権を持つ名護漁業協同組合の同意書も添付した。県は週明けから申請書類を確認し、不備がなければ来週内に受理する。仲井真弘多知事は名護市などの意見聴取などを経て、6カ月半~8カ月半以内をめどに埋め立ての可否を判断するとみられる。仲井真知事、県内全41市町村長が県外移設を求めており、県議会は抗議決議・意見書を提案することを検討する。安倍政権が辺野古移設を強行する姿勢を鮮明にしたことで、県内の反発が一層強まることは必至だ。
 申請書によると、埋め立て面積は作業ヤード5ヘクタールを含む約160ヘクタール、埋め立て土量は約2100万立方メートル。埋め立て工期は5年。
 安倍晋三首相は同日夕、記者団に「普天間の固定化は断じてあってはならない。これが基本方針。負担の軽減に向けて全力を尽くしていきたい」と述べ、日米合意に基づき、辺野古移設を進める考えを示した。
 小野寺五典防衛相は同日夕の会見で「提出に必要な名護漁協との合意ができ、速やかに提出した」と提出理由を説明し、「県側と意見交換しながら承認をいただく努力をする。スタートだと思っている」と、承認を得られるよう交渉を進める考えを述べた。
 名護漁協は同日午後の役員会で同意書提出を決め、午後3時に同局職員に渡した。古波蔵廣組合長は「振興策や漁業補償の総額などを交渉した覚書を既に交わしており、いつでも出せる状態だった」と述べ、額については「言えない」とした。
 北部土木事務所では、防衛局職員6人が書類の入った5箱を3階の庶務のカウンターに置き、1、2分で立ち去った。その5分前に同局から県土建部海岸防災課に申請をする旨の電話連絡があったという。
 安倍首相は2月にオバマ米大統領と会談した際、3月中に埋め立て申請する意向を示していた。米側に安倍政権が普天間飛行場の移設を着実に進めているとの姿勢を示す必要があると判断した。申請時には必ずしも必要としない名護漁協の同意書を得たのは、地元の一部の賛意が得られていると示す狙いとみられる。

◆知事「固定化そのもの」
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた埋め立て申請書が提出されたことについて、仲井真弘多知事は22日、「普天間の固定化はあってはならないと言っておいて、5年も10年もかかる(辺野古への移設)のは固定化そのものだ。事実上無理、不可能だ」と移設の実現性を疑問視し、「県外を選んで普天間を落ち着ける。それが一番いい方法ではないか」とあらためて県外移設を求めた。
 仲井真知事が県外移設を求めてきた中での申請書提出について、「実現可能性(の検討)を抜きに、決めたから実行できるというのは普通考えられない」と日米両政府を厳しく批判。承認するかどうかの判断については、環境影響評価書で指摘した点の修正状況なども踏まえて総合的に判断する姿勢を示した。

英文へ→Ministry submits application for land reclamation for alternative facility at Henoko

米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古沿岸域=16日午後(日本テレビ取材機から撮影)
辺野古沖の埋め立て申請書の提出を受け、県外移設をあらためて求めた仲井真弘多知事=22日、県庁
辺野古沿岸部の埋め立て承認申請書類を提出した件について記者会見する小野寺防衛相=22日午後、防衛省