東京書籍を副読本 竹富・教科書 県教育庁腹案


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 来年度から竹富町内の中学校で使用する公民教科書をめぐり、県教育庁は竹富町教育委員会が八重山採択地区協議会の採択した育鵬社版を教科書に使用し、副読本として東京書籍版を使用することで問題の解決を図ろうとしていることが30日までに分かった。

同町教委事務方と同案を含め対応策を協議してきた同庁の浜口茂樹教育指導統括監らは30日、石垣市内で町教育委員5人と非公開で会談し、教科書の一本化を求めた。
 県教育庁は同庁が一本化を求め、町教委が教科書に育鵬社版を使用することで、同問題の年度内の解決を求める義家弘介文部科学省政務官が示唆した訴訟を含む「是正要求」を回避する考えだ。
 これを受けて町教委は4月5日までに方向性を示す方針だ。委員会内では国の直接指導を重視しなければならないものの、東京書籍版が教科書としてふさわしいとの意見が根強く、ぎりぎりまで調整が続きそうだ。
 同案に決定されれば、無償措置法に基づき育鵬社版を教科書として国から無償給与を受け、東京書籍版を副読本として町への寄付金で購入することになる。
 会談に出席した竹富町の慶田盛安三教育長は「具体的な指導が何もなかったので県の立場がはっきり見えず、対応が難しい」と説明した。竹盛洋一教育委員長は「(会談で)何が話されたかは言えない。4月5日までには決めたい」と述べるにとどまった。
 同町の公民教科書をめぐぐっては「教科用図書八重山採択地区協議会」がほとんど議論せずに無記名投票で育鵬社版を選択し、3市町に答申。竹富町教委は同協議会の選定手法に疑問を呈し、独自に議論して東京書籍版を採択していた。(当銘寿夫)