安全性 確保に限界 オスプレイ配備半年


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 県民の強い反対がある中、米海兵隊が日本政府の了承の下、昨年10月1日に米軍普天間飛行場へ垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを強行配備してから1日で半年を迎えた。1月に県内全41市町村長や議会議長らが配備撤回を求める「建白書」を安倍晋三首相に提出するなど、県内の配備反対の民意は今も強固だ。

海兵隊は3月から本土での低空飛行訓練を始めたが、日米両政府が検討することで合意していた沖縄から本土への訓練移転は実施されていない。海兵隊は第1陣の12機に加え、今年7月以降に同数を普天間に配備する予定。米軍は嘉手納基地への空軍仕様のCV22オスプレイ配備も検討。沖縄の負担がさらに増大する見通しとなっている。
 オスプレイの沖縄運用で市町村と連携して目視調査を実施している県は、昨年12月下旬、配備から2カ月間のまとめで、目視総数のうち6割が、人口密集地上空飛行などの日米合意違反だったとして、武田博史沖縄防衛局長と竹内春久外務省沖縄大使に飛行実態調査と合意事項に照らした検証をするよう文書で求めた。政府は、3カ月が過ぎても県へ説明していない。
 小野寺五典防衛相は3月29日の閣議後会見で、県が合意違反として国に検証を求めている約320件について「一つ一つ確認する中で、検討が進みつつある」との認識を示す一方、「一概に結論ということにはすぐにはいかない」と述べ、検証終了のめどは示さなかった。
 防衛局はオスプレイ配備を受け、飛行状況の目視や写真撮影をしている。ただ、琉球新報が情報公開請求で入手した目視調査をまとめた資料は、目視場所、離着陸や旋回などの飛行方法は記述しているが、合意違反に関わる飛行モードが記載されていないなど、資料から違反の有無は読み取れない。同局は撮影した写真も含め検証作業をしているとみられるが、データや情報の信頼性に疑義がある。
 防衛省幹部は「日米合意には『運用上必要な場合を除き』との条件が付いている。そうなると、米軍に違反ではないかと指摘しても、運用上必要と言われれば、違反だとすることは難しい」と吐露する。同幹部は「明らかに違反であれば、分かりやすいが、(原則基地内上空の)ヘリモードか、転換モードかというのを明確にするのは、大変な作業だ」と述べ、違反の確認は難しいとの認識を示した。米軍の裁量の壁の前に、オスプレイ運用の安全性を確保する日米合意に限界があることが浮かび上がる。
 他方、沖縄の負担軽減は進んでいない。
 安倍晋三首相は6日の参院本会議で、オスプレイの運用について「地元の皆さまの生活への最大限の配慮が大前提だ」と強調。一方、小野寺防衛相は日米で合意した県外への訓練移転について、「米側に早く方針を決めていただきたいとお願いしているが、先方から明確なスケジュールの示唆はない」と述べ、具体的に進んでいないことを明らかにした。本土への訓練移転に関する米側との調整はこれから。安全性への懸念を示している自治体がある中、移転先の自治体との調整は難航しそうだ。
(問山栄恵、内間健友)

英文へ→Six months have passed since the Osprey was deployed to Okinawa