知念、王座獲得ならず 日本ライトフライ級


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田口良一(右)を左で攻める知念勇樹=3日、東京・後楽園ホール(島洋子撮影)

 プロボクシングの日本ライトフライ級王座決定戦10回戦が3日、後楽園ホールで行われ、WBA世界ライトフライ級14位の知念勇樹(琉球ジム)は、同6位の田口良一(ワタナベ)に0―3の判定で敗れ、王座獲得はならなかった。

これまで13戦13勝だったが初の敗戦。
 王座戦初挑戦の知念は序盤、リーチの長さを生かした右ストレートを繰り出したが、経験で上回る田口のガードに阻まれ、左を大振りする場面が見られた。
 後半は疲れが足にきたところを追い込まれ、細かくパンチを繰り出された。

◇ようやったと思う
 知念勇樹の話 10ラウンドはあっという間だった。相手から(パンチが)当たったとは思わなかった。6回までが勝負だと思って狙っていたが、相手の試合運びがうまかったんだろう。自分ではようやったと思う。

◆まだ粗削り 素質十分/課題はスタミナと技術
 知念自身が「あっという間に終わった」と話すように試合巧者の田口に対して、得意の右ストレートの威力を発揮できないまま10ラウンドが過ぎてしまった。
 身長172センチと、ライトフライ級としては長身の知念は、リーチの長さを生かしたパンチ力が攻撃の要。対する田口はスピードとパンチの回転力で勝負するタイプ。田口は序盤から手数を多く繰り出しつつ、知念の右を警戒してガードを堅くする戦法に出た。
 右ストレートを封じられた知念は中盤以降、一発を狙った左の大振りも目立った。手数を多くして点を稼ぐ日本選手との試合経験の少なさが、得点にも表れた。
 琉球ジムの仲井眞重次会長が課題を「スタミナとコンビネーション」と語るように、10ラウンドをフルに戦える持久力と、前に出て左右を連続して繰り出せるテクニック養成が日本一を狙うために必要だろう。
 初の王座戦挑戦だったが、過去13戦全勝という戦歴は特に序盤に表れ、キャリアに優る田口を何度も追い詰めた。まだ粗削りだが、王者を狙える素質を十分に感じさせる試合だった。
(島洋子)