伊江村の米軍施設 移転先面積1.7倍、月内に着工


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 【伊江】伊江村東江上の地下ダム建設に伴い同区の米軍施設を同村真謝区に移転する問題で、移転先の面積が現在の約1・7倍に増えることが、4日までに分かった。総合事務局は4月中に工事を始めるとしている。移転工事費は全て農林水産省予算。真謝区への移転をめぐっては、同区民が治安の悪化などを懸念し反対していた。

 真謝区への移転が決まっているのは伊江島補助飛行場を管理する「運用支援分遣隊」の施設。兵舎と通信施設などを合わせた現在の施設面積は約3600平方メートルだが、移転先では1・7倍の6100平方メートルに拡大する。総合事務局は「9・11米同時テロ後、米軍の規定で基地のゲートから施設までの距離を長くすることが決まっている」と述べ、機能強化ではないとした。
 工事費は、2012年度予算に計上されている初期工事のみで約4千万円。総合事務局によると、工事費の総額は分かっていない。
 04年、村の要望で東江上区の米軍提供施設内への地下ダム建設が決定。その後、ダム用水の汚染を懸念した米軍は07年に米軍施設の移転を村に要望。08年の日米合同委員会で真謝区にある米軍伊江島補助飛行場跡地の米軍提供地内への移転で合意した。真謝区は兵舎が近くに移転することで治安悪化などを懸念し、移転に反対していた。しかし、村によると11年12月、真謝区の委員らは村に「反対の姿勢は変わらないが、どうしても移転するなら区の振興に配慮してほしい」と要請した。(田吹遥子)

運用支援分遣隊の駐在する現在の米軍施設=3日、伊江村東江上
米軍補助飛行場「運用支援分遣隊」移設計画