竹富町教委、東京書籍配布へ 八重山教科書問題


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 【竹富】文部科学省が竹富町教育委員会に対し、同一採択地区内の石垣市、与那国町と同じ保守色の強い育鵬社版公民教科書を採択するよう指導している問題で、竹富町内の中学3年生には昨年度と同様、町教委が独自に採択した東京書籍版が配布される見通しとなった。

教科書取扱店は5日までに各学校への教科書配布を開始し、8日までには配布を終える。始業式は8、9日に行われる予定だが、文科省への回答内容を決める町教委の会合は、早くても10日以降にしか開けないという。
 取扱店によると、教科書は学校現場の求めに応じて東京書籍版を用意した。今月から順次、八重山地区の各学校に送付を始めており、5日時点で既に教科書が届いた学校もある。教科書代金は町内篤志家の寄付で賄うが、まだ支払いはされていない。町教委によると、公民教科書を使用するのは町内9校の新3年生31人。公民分野の指導は例年、5月末から6月初旬に始まる。
 文科省は教科書無償措置法に違反している状況や、無償給付するための冊数報告がなされていないことへの見解と解決策を「早急に」明らかにするよう町教委に要求していた。町教委は8、9日に町内各島で入学式が行われることなどから、始業式前に会合を開き、文科省へ回答することは日程上不可能と判断した。