空自PAC3 県内に常時配備


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 防衛省が、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を4月下旬、県内に初めて常時配備することが7日、分かった。配備先は沖縄本島南部の空自那覇基地(那覇市)と知念分屯基地(南城市)。防衛省幹部が明らかにした。

 北朝鮮が挑発的な言動を続け、弾道ミサイル発射の懸念が高まる中での常時配備だが、防衛省幹部は「直近の動きと連動しているわけではない」と指摘している。しかし昨年、北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射を予告した際、沖縄に2度にわたってPAC3が一時展開した経緯があり、北朝鮮側の反発など波紋の広がりも予想される。
 防衛省幹部によると、当初はPAC3を新規調達し沖縄に配備する予定だったが、南西諸島の防衛態勢を早期に整えるため、浜松基地(浜松市)から計4基を移転させることにした。
 昨年は、沖縄本島、石垣島、宮古島にPAC3を一時配備したが、本土からの輸送に時間がかかったことを踏まえた。
 常時配備について、県の又吉進知事公室長は「北朝鮮への対応だと考えられるが、まだ正式な連絡がきていない。県として、県民生活にどういう影響を与えるのかを含めて、政府に情報開示を求めていきたい」と述べた。沖縄には、米軍が2006年、嘉手納基地にPAC3を配備している。
 沖縄本島には与座岳分屯基地(糸満市)に最新の地上配備型レーダー「FPS5」も設置され、ミサイル防衛態勢の強化が進んでいる。

<用語>PAC3
 地対空誘導弾パトリオットの略称。大気圏に再突入した弾道ミサイルを、日本の領域に着弾する直前に撃ち落とす役割を担う地上配備型の迎撃ミサイル。弾道ミサイルが大気圏外を飛行中は、イージス艦から発射した海上配備型迎撃ミサイル(SM3)で迎撃する。失敗した場合にはPAC3で対応するが、射程範囲は約20キロと狭い。2007年3月に埼玉県の入間基地に初めて配備され、現在は11基地にある。