移設実現の不透明さ指摘 基地返還・統合計画 米紙反応


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 【米ワシントン7日=島袋良太本紙特派員】日米両政府が5日に嘉手納より南の米軍基地の返還・統合計画を発表したことを受け、米主要紙も6日、記事や社説でこの合意を取り上げた。「日米同盟強化」と一定評価がある中、沖縄の基地負担の大きさや県内移設実現の不透明さなどを指摘する記事もあった。

 ニューヨークタイムズは記事と社説を掲載。合意について「同盟強化の重要な瞬間になる」とした一方、「ただ在日米軍人の半数以上を抱える沖縄の人々を満足させられるかは不明」とした。その上で「基地から派生する墜落事故や犯罪、環境劣化や騒音による生活破壊を訴える声はこれまでしばしば無視され、当然の帰結として県民の怒りや憤りが硬化している」と指摘。「米軍のプレゼンスを安定的にするには、日米両政府は沖縄の懸念に敏感であるべきだ」とした。
 ウォールストリートジャーナルは「安倍晋三首相は基地問題でぎくしゃくした日米関係の改善を目指しており、今回、移設計画が進んでいることを印象付けようとしたのも、その目的に沿ったもの」とした上で、「安倍氏以前の首相は、負担が重過ぎるとして普天間基地の県外移設を望む沖縄県の反対派の意見を変えられなかった」とも紹介した。
 ロサンゼルスタイムズは普天間飛行場の県内移設に県民が猛烈に反対していると指摘。「この島は日本の中でも多大な米軍基地を抱え、騒音や環境汚染、米軍人犯罪に対する反対の声が上がり続けている」と説明した。専門家の分析や琉球新報の記事を例に、県内移設実現の不透明さを指摘し、統合計画について「問題を先送りしただけ」という専門家の分析を載せた。
 ワシントンポストは日米両政府が2022年度以降の普天間飛行場の返還に合意したとするAP通信の記事を掲載した。