ノグチゲラ、タイワンハンノキで営巣 外来木、環境変化か


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タイワンハンノキに巣をつくり、ヒナに餌を運ぶノグチゲラの雄=3日、東村(中村保さん提供)

 【東】東村ノグチゲラ保護監視員の中村保さん(68)が3日、東村内で外来種のタイワンハンノキに巣を作り、子育てするノグチゲラを確認した。沖縄総合事務局の調査では、ノグチゲラの営巣木は在来種を中心に15種類あるが、タイワンハンノキは含まれていない。

開発後の開けた場所に生えるタイワンハンノキでの繁殖が確認されたことで、ノグチゲラの生息環境が変化している可能性もあり、中村さんは「長期的な視点でやんばるの森を守る思想が必要だ」と指摘している。
 環境省やんばる野生生物保護センターによると、枯れたタイワンハンノキでの営巣は最近になって確認数が増えているが、生木での営巣は少ないという。
 中村さんが森を巡回していた2日に確認した。3日は30分ほど観察し、その間雄と雌が交互に餌を運んでいた。
 タイワンハンノキは材木用として明治時代に持ち込まれた。ノグチゲラの主な営巣木であるイタジイなどが茂る森の奧でなく、伐採や開発された後に生える。県のレッドデータブックによると、ノグチゲラの営巣木は樹齢40年以上の「壮齢林」と周辺に限るとされていた。中村さんが確認したタイワンハンノキは樹齢40年に達しないとみられる。
 中村さんは「世界遺産や国定公園の目的は固有種が永久に生存する環境をつくることだ。そうした考えなくしては世界遺産とはいえない」と話し、ノグチゲラの生息を脅かす開発や伐採などに警鐘を鳴らした。(金城潤)