軍国主義化を懸念 澤地氏が講演 琉球フォーラム


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 会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・富田詢一琉球新報社長)の4月例会が10日、那覇市のロワジールホテル&スパタワー那覇であり、作家の澤地久枝氏(82)が「明日につなぐ命」の演題で講演した。

澤地氏は、安倍政権下で再燃する憲法改正の議論や拡張する自衛隊機能などに触れ、「最高法規の憲法を守るべき総理大臣が改憲を露骨に言うのは、主権者の国民をばかにし、日本の軍国主義への道を進めている」と指摘した。
 また、1972年の本土復帰後も米軍基地の負担が減らない沖縄の現状や、自らが現在取り組む反原発の運動を紹介。「人々が(その地域で)暮らし、子や孫の未来の命を大事にする観点からも、(負担軽減を求める)沖縄の意見を尊重しないのはおかしい」と、政治が誠実に住民の声を受け止めるよう訴えた。
 沖縄返還に伴う日米間の財政負担の密約を題材にした自身の著書「密約」の取材秘話や、モデルとなった元毎日新聞記者の西山太吉氏とのエピソードを紹介。密約を追及した西山氏が国家公務員法違反で有罪となった70年代当時の司法判断に「不信感を強めた」と振り返った。一方、「1票の格差」訴訟で違憲判決が相次いだことに「(政治の外圧から)きちんと憲法を守らなければならないと、裁判所も変わり始めたのではないか」と分析した。

講演に聴き入る琉球フォーラムの会員ら=10日、那覇市のロワジールホテル&スパタワー那覇
澤地久枝氏