好漁場の縮小懸念 県と県漁連、日台漁業協定に抗議


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日台漁業協定について「影響は避けられない」と林芳正農水相(右)に抗議する県漁連の国吉真孝会長(右から2人目)ら=12日、農林水産省

 【東京】日台漁業協定の締結を受け、県の高良倉吉副知事、県漁業協同組合連合会の国吉真孝会長、県漁業協同組合長会の古波蔵廣会長らは12日、農林水産省に林芳正農水相を訪ね、仲井真弘多県知事名の抗議書を手渡した。尖閣諸島を含む周辺海域で台湾の漁業権を認めたことに「台湾漁船との漁場競合が激化し、好漁場の縮小が余儀なくされる」と強い懸念を示した。

 高良副知事らによると林農水相は「沖縄の漁業者の意見をしっかり聞きたい」と述べた。県は漁業者の意見を取りまとめ、地元の漁業権益を守るようあらためて要請する方針。一方、菅義偉官房長官は11日の会見で「今回の取り決めで漁獲高が減るなどの影響が出た場合は、政府として責任を持って対応したい」と表明しており、今後は政府との間で具体的な漁業補償などが焦点になりそうだ。
 国吉会長は「意見が無視されたことで漁業者は怒っている」とする一方、「安心・安全な操業ができるよう日台間でルール作りをすることが今後の課題だ」と述べ、今後の政府間の交渉を注視する考えを示した。
 高良副知事は同日午前、首相官邸に杉田和博官房副長官を訪れ、同様に要請した。午後には国吉会長、古波蔵会長と共に外務省で城内実外務政務官にこれまでの経緯を聞いた。城内氏は「交渉事なので明らかにできなかったこともあった」と地元に説明しないまま合意に至った点を釈明した。

英文へ→Okinawa fishermen protest to the Government over agreement with Taiwan on fishing rights