1940年代のサバニ復元 本部町の元漁師・中村さん


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復元したサバニを前に笑顔の中村英雄さん=15日、本部町立博物館

 【本部】1962年の琉球政府発足10周年記念の爬竜船大会で優勝し、地元漁師がアギヤー漁などで使ってきた本部町立博物館(島袋貞三館長)で展示のサバニが15日までに復元作業を終え、造船時の面影をよみがえらせている。

サバニに乗船していた元漁師中村英雄さん(83)=同町=が復元した。中村さんは「船を担いで歩いて辺野古まで漁に行った。戦争とか基地を造ろうとする前にこの船を見てほしい」と思いを込める。
 サバニが造られたのは48年ごろ。長さ約8メートル、幅約1・2メートルで、船体は宮崎県産のスギが使われている。約30年前から同博物館に展示されていたが、サバニ内の座面や帆をかける柱などが無かったため、中村さんが木材で製作した。
 同博物館の友利哲夫さんは「必要な道具がそろってサバニが本来の姿に戻った。これで歴史や人との関係が分かる」と喜んだ。
 当時、本部の漁師6人でアギヤー漁をしていた中村さんは「辺野古や(東村の)川田まで漁に行った」と語る。
 東海岸ではスズメダイが大量に捕れ、現地で米と交換するなど、このサバニで戦後の食糧難を支えた。62年には琉球政府発足10周年の爬竜船大会に本部の浜崎の代表として出場して優勝した。
 中村さんは「東海岸に行くと魚がたくさんいた。あそこは豊かな海だ。今は辺野古に基地を造ろうとしてるけど、その前にこのサバニを見に来てほしいね」と話した。(仲村良太)