東村高江に新種ラン、絶滅危惧種も ヘリパッド影響懸念


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【東】環境NGO「山原の自然を歩む会」代表の玉城長正さん(73)が20日までに、東村高江の森で、台湾で昨年新種として記載されたばかりのランや、県レッドデータブックで絶滅危惧1A類とされる「イズセンリョウ」など複数の希少植物が生育しているのを確認した。

玉城さんは「高江ではヘリパッド建設が進むが、やんばる本来の自然が残る場所で、一帯の植物相は『博物館』といってもいい」と貴重な環境の保全を訴えている。
 玉城さんの撮影した植物を確認した横田昌嗣琉大教授(植物分類学)によると、新種のランは学名「Gastrodia clausa」で和名はツボミヤツシロランになる予定。台湾で発見された後、県内でも最近同じランが見つかっており、その論文が間もなく公表される。イズセンリョウは県内の2カ所で報告されているが、1カ所は絶滅した可能性が高く、高江が3カ所目の新たな産地になる。
 玉城さんがイズセンリョウを初めて確認したのは2009年。その後毎年開花を確認しており、高江に定着していると考えられる。新種のランは当初性質や形が似ている「ハルザキヤツシロラン」と見なされていたが、横田教授から新種との指摘があった。
 玉城さんは、これ以外にも「クモラン」や「ユウレイラン」など複数の絶滅危惧種を高江の森で確認した。玉城さんは新種のランが見つかったことに「非常に驚いた。宝の森は県民が守るという認識を共有するきっかけにしたい」と話した。
 横田教授は絶滅が危惧される要因として(1)開発などによる自生地の消滅(2)人間による採集(3)自然災害や病害虫の発生-などがあり、「自生地の開発で減少している種が数としては多いだろうが、沖縄の生物はもともと個体数と自生地が限られるのでほとんどの種が三つの要因に当てはまる」と話し、開発などから森の生息環境を守る重要性を指摘している。(金城潤)

英文へ→New breed of orchid discovered in Takae district of Higashi

高江に生育する新種のラン。腐生ランの一種とみられる=2013年3月(玉城長正さん提供)
2009年に撮影されたイズセンリョウ。高江の森に定着しているとみられる(玉城長正さん提供)