北山、初陣8強 九州高校野球


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 高校野球の春季九州大会(第132回九州大会)は20日、宮崎県のアイビースタジアムなどで開幕し、2回戦から登場した県代表の北山は選抜大会出場の創成館(長崎)に2―0で勝利、初戦を突破した。北山はエースの平良拳太郎が毎回の16三振を奪い、創成館打線を2安打に抑える力投を見せた。

攻めては七回、安打と四球に相手失策が絡んで2点を先取、守り切った。北山は22日午前10時から杵築(大分)と久留米商(福岡)の勝者と対戦する。

◆攻めた右腕、充実1勝 毎回16奪三振被安打2
 最後の打者のバットが空を切ると、マウンドの平良拳太郎が雄たけびを上げた。初回から積み重ねた三振は16個。甲子園出場校に三塁を踏ませない圧巻の投球でチームに勝利をもたらした。「九州大会でまずは1勝することが目標で、自分が抑えていたら大丈夫だと思った」。右腕は充実した表情で語った。
 県大会終了後は疲れを取るために本格的な投球練習を行わず、ブルペンに入ったのは試合の2日前。「ブルペンでも試合前の投球では調子が悪かった」と語る通り、初回は1死から四球を与えてしまった。それでも後続を二ゴロと三振に仕留めると、二回は三者連続、三回は2者連続で三振を奪った。「理由は分からないけど、いつも試合に入ると調子が良くなる」と口元を緩める。
 相手が甲子園の土を踏んだチームでも気負いはなく、「自分たちの力を試すチャンスだと思った」という。直球と変化球で緩急をつけ、五回以降は無安打・無四死球と力を見せつけた。球を受け続けた捕手・仲里正作は「いつも尻上がりに調子が良くなる。今日もいつも通りだった」とエースの好投に満足している。
 「九州の上位校が集まる大会で1勝できたことは大きい」と平良。勝利が自信につながった様子で、勢いをそのままに次戦に向かう。
(平安太一)

◆2番・仲地航 運もグィッと3安打
 まさに“ラッキー7”だった。七回、2死一、二塁。2番・仲地航が打席に立った。3ボール2ストライクから力いっぱい振り抜くと、打球は外野へ上がった。「やってしまった」。仲地はフライを確信し、一塁へ走った。しかし、左翼手が落球。走者2人が本塁を駆け抜けた。
 「幸運」には前兆があった。七回の打席では邪飛を捕手が落球し、「運があると思った」と振り返る。その直後に決勝点を呼び込み、「平良さんがいい投球をしていたので得点できてうれしい」とはにかむ。
 この日は3安打を放ち、運だけではなく実力もあることを証明した。「相手はいい投手だと聞いていたけど、今までやってきたことを出せた」と達成感をにじませた。

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沖尚きょう初戦

 高校野球の春季九州大会(第132回九州大会)に出場している沖縄尚学は21日午後2時から、サンマリンスタジアム宮崎で鹿児島情報と初戦を行う。
 沖尚ナインは17日に宮崎入りし、20日は宮崎市の鵬翔高校で打撃練習などをこなした。比嘉公也監督は「相手は投手がいいので、少ないチャンスを確実にものにしたい。守備でも崩れないようにする」と意気込みを語った。

創成館―北山 毎回の16三振を奪う力投を見せた北山のエース・平良拳太郎=20日、宮崎県のアイビースタジアム(平安太一撮影)
9回にこの日3本目の安打を放つ仲地航