県内移設すべきでない ノーム・チョムスキー氏


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 世界的に著名な言語学者で、米国の外交政策を「覇権主義」と批判するなど国際政治を鋭く批評する米マサチューセッツ工科大名誉教授のノーム・チョムスキー博士(84)がこのほど琉球新報のインタビューに応じ、沖縄の米軍基地問題などについて語った。

チョムスキー氏は普天間飛行場の返還問題で「県民が拒否しており、県内のどこにも移設すべきでない」と述べ、名護市辺野古への移設計画を進める日米両政府を批判した。
 同氏は哲学者、論理学者としても知られる。政治や社会問題を扱った著作も多く、2005年には「世界最高の論客」に選出された。インタビューは、米東部マサチューセッツ州ボストン郊外の同大研究室で3月下旬に行った。
 日米両政府が辺野古移設計画を進めていることについてチョムスキー氏は「私が知る限り、沖縄の人々は県内移設を望んでいない。沖縄のことは沖縄が決めるべきだ」と強調し、両政府は県内の民意を尊重すべきだとの考えを示した。
 米国の外交については「帝国主義そのものだ。東南アジアや中東など外国に対する政策は民主主義を傷つけてきた」と批判。米国の国是である民主主義の精神が沖縄問題には反映されていないと指摘した。
 沖縄が過重な基地負担を背負う現状に関しては「第2次世界大戦後も米国は東アジア地域を管理下に置くため沖縄に基地を建設したが、米国によってサンフランシスコ講和条約への参加が認められた日本は、これまで常に米政府に従属してきた」と述べ、日米間の主従構造が沖縄問題の根本にあるとの見方を示した。
(松堂秀樹)

英文へ→Noam Chomsky criticizes Japan-US policy on relocating the Futenma base within Okinawa

「沖縄のことは沖縄が決めるべきだ」と話すノーム・チョムスキー氏=3月下旬、米マサチューセッツ工科大
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