沖尚8強進出 春季九州高校野球


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鹿児島情報―沖縄尚学 相手打線を散発の4安打に抑え、完封勝ちを手にした沖尚の比嘉健一朗=21日、サンマリンスタジアム宮崎(平安太一撮影)

 高校野球の春季九州大会(第132回九州大会)は21日、サンマリンスタジアム宮崎などで2回戦を行い、沖縄尚学は2―0で鹿児島情報に勝利、ベスト8進出を決めた。沖尚は左腕の比嘉健一朗が先発のマウンドに立った。

四球などで走者を背負う場面もあったが、要所を締めて完封勝ちした。打線は初回から相手投手を捉え、安打を量産。好機で一本が出ずに苦しんだが、五回に柴引佑真の犠飛で1点を先制、九回に諸見里匠の三塁打で追加点を奪った。22日は準々決勝が行われ、北山は午前10時から久留米商(福岡)と、沖尚は午後0時半から佐世保実業(長崎)と対戦する。

◆比嘉初完封 自信に
 沖尚のエース・比嘉健一朗は最後まで落ち着いていた。五回以降、四球や安打で毎回のように走者を背負ったが、深呼吸で気持ちを整え、全力で打者に向かった。最後は空振り三振で仕留め、高校入学後の公式戦では初めてという完封勝ちを手にした。終わってみると許した安打はわずか4本。「九州大会の完封は自信になった」と白い歯をのぞかせた。
 エースを成長させたのは甲子園の苦い経験だった。本来の力を出し切れないまま1回1/3で終わった大舞台を振り返り、「あの時の経験をプラスにしようと思った」と語る。甲子園では不安定だったというフォームを修正し、大観衆の中でも雰囲気にのまれないよう気持ちを強くした。鹿児島情報との試合では相手チームの大応援団がスタンドを埋め尽くし、「甲子園と(雰囲気が)似ていた」と苦笑い。それでも自分のリズムを保ち続け、ピンチで崩れることはなかった。
 六回と八回には素早いけん制球で走者を刺し、「自分が出した走者なのでアウトにしたかった」と話す。比嘉公也監督は「けん制が大きかった」と左腕の活躍に納得の表情を見せ、「強くなってほしいという思いがあったから最後まで投げさせた」と完投させた理由を説明する。
 九州の大舞台で一回り大きくなった姿を見せた左腕は「冬のトレーニングの成果が出てきて、日に日に調子もよくなっている」と手応えを感じている様子だ。(平安太一)