県勢4強逸す 春季九州高校野球準々決勝


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 高校野球の春季九州大会(第132回九州大会)は22日、宮崎県のサンマリンスタジアム宮崎とアイビースタジアムで準々決勝を行った。北山は久留米商業(福岡)に0―4で敗れ、沖縄尚学は佐世保実業(長崎)に3―4でサヨナラ負けし、ベスト4進出は果たせなかった。

北山は小浜百顕が先発。初回に2本の安打で1点を失ったが、その後は走者を背負いながらも要所を締めた。しかし五回に四球と安打でピンチを招き、マックスウェル・ジェリーに継投したが3点を奪われた。打線は最後まで相手投手を捉えられなかった。沖尚は二回と五回に1点ずつを失ったが、六回に相手失策で1点を返し、七回に具志堅秀樹の安打と相手の暴投で逆転に成功した。しかし八回に同点に追い付かれ、延長十二回に連打を許して勝敗を決する1点を奪われた。

<北山>全員野球 夏向け収穫
 全員野球の北山が夏に向け大きな収穫を得た。投手陣はエースの平良拳太郎を休ませ、小浜百顕、マックスウェル・ジェリー、安座間海、神谷塁がつないで投げ抜いた。守備は無失策で投手陣を援護。1、2回戦で5点以上を奪って勝ち上がってきた久留米商に8安打を許しながら、要所を締めて善戦した。「九州でいい経験ができた。敗戦をプラスに変えて夏に向けて伸びてほしい」。神谷善隆監督は大舞台を踏んだ選手らの飛躍を願った。
 主将で捕手の仲里正作も粘る投手陣を支えた。初回に1点を先取され、二回には四死球が重なり2死満塁。悪い流れにのまれそうな場面、仲里はすかさずマウンドに駆け寄って小浜に声を掛けた。「しっかり投げれば打ち取れる。自信を持って投げよう」。小浜は後続を一ゴロに仕留め、ピンチを切り抜けた。その後も継投する投手陣の球を受け続けた仲里は、「どの投手も大きい舞台で投げるのは初めてだったので、いいところを引き出したかった」と語る。
 チームは勝利を逃したが、仲里は「投手は頑張っていたし守備も良くていい収穫になった」と前を向く。そして、「夏に向けて打撃と走塁をレベルアップさせる」と決意。力強い瞳は夏の頂点を見つめていた。(平安太一)

<沖尚>延長十二回 力尽きる
 沖尚野球は粘り強かったが、最後に力尽きた。延長十二回裏。好投を続けていた比嘉健一朗が連打を浴びてサヨナラ負け。「勝つために大会に来ているので結果は満足していない」と比嘉公也監督。それでも主力選手をけがで欠く中で各選手が健闘したことに、「みんなの懸命さが出ていた。課題を持ち帰って夏につなげたい」と話した。
 打線は好機に一本が出ず苦しんだが、具志堅秀樹が意地を見せた。七回2死一、二塁の場面で打席に立つと、「気持ちで打った」という打球が右前に落ち、同点の走者が本塁を駆け抜けた。「打ちたいと考え続けていたので、捉えた球種は覚えていない」と打席では強い気持ちがあった。
 捕手としてマスクをかぶり、先発の宇良淳、2番手の與座海人、3番手の比嘉とも向き合った。「みんな調子は悪くなかったし、リードしやすかった」。最後には打ち込まれたが、「比嘉はピンチでも表情に力があって、逃げずに攻めの投球を貫いていた」とエースの力投をたたえる。
 今大会は悔しい敗戦で幕を閉じたが、昨秋の九州から甲子園を経て得た経験を夏の大会に生かす決意は固い。「捕手としてもっとうまく投手をリードし、打者としても多くのヒットを放つ」。数々の敗戦を、夏の栄冠をつかむための糧にする考えだ。
(平安太一)

久留米商業―北山 2回裏、2死満塁のピンチで先発の小浜百顕(右)に声を掛ける捕手・仲里正作=22日、サンマリンスタジアム宮崎(平安太一撮影)
佐世保実業―沖縄尚学 7回表、2死一、二塁で具志堅秀樹が同点の右前打を放つ=22日、宮崎県のアイビースタジアム(平安太一撮影)