タイマイ、黒島放流へ 名古屋港水族館で人工繁殖


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名古屋港水族館から届いたウミガメを水槽に移す若月元樹さん=4月25日、竹富町黒島の黒島研究所

 【黒島=竹富】名古屋港水族館が黒島研究所と共同で行っている「タイマイ野生復帰プロジェクト」が3年目を迎えた。水族館で人工繁殖した絶滅危惧種のウミガメ「タイマイ」を野生に戻す計画で、今年はタイマイに電波の送信機を付けて黒島から放流し、行動を追跡する。

黒島では放流体験を観光イベントとして売り出し、ゴールデンウイークの集客につなげている。
 放流するウミガメは30匹で、すべて名古屋港水族館が卵から育てた「大海知らず」だ。今年は3歳10匹、0歳20匹を名古屋から空輸。4月25日に黒島に到着した。
 タイマイの繁殖地は沖縄が北限とされており、黒島は現在も産卵が確認されている。サンゴ礁に囲まれた黒島は生息地でもあることから放流場所に選ばれた。取り付けた送信機が発した電波を人工衛星でキャッチし回遊経路を把握する予定だ。
 一昨年も送信機を付けて放流したが、思うようにデータを収集できなかったという。名古屋港水族館の岡本仁飼育員は「今年は送信機の付け方などを改善した。前回はアメリカとの共同研究だったが、今年は独自の予算を組んで挑戦するので楽しみだ」と意気込む。
 黒島研究所の若月元樹さんは「研究所は長年のデータがありどのような環境で産卵しているのか提供できる」と説明した。
 放流体験は4月27~5月6日まで行い、タイマイの身体測定などで触れ合うことも。黒島観光組合の仲田和則さんは「ウミガメを使った観光商品はまだこれから。今後に期待したい」と話した。
 体験の問い合わせは石垣島ドリーム観光(電話)0980(84)3178。

英文へ→Turtles born in Nagoya aquarium released into Kuroshima sea