米軍内の性犯罪2万6千人被害 国防総省が推計


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 【米ワシントン7日=島袋良太本紙特派員】米国防総省は7日、2012会計年度(11年10月~12年9月)に、米軍内で2万6千人が性的暴行や強制わいせつなど性犯罪の被害を受けたとする推計値を発表した。1日当たり約71人が被害を受けたことになる。

10会計年度(9年10月~10年9月)の1万9300人と比べ、35%も増えた。同省は兵士へのアンケートを実施。その結果を基に軍全体の推計値を算出した。
 一方、12会計年度中、米軍当局へ実際に被害を報告したのは3374人にとどまったが、11会計年度より6%増えた。
 5日未明には、米空軍で性犯罪防止対策責任者を務めるジェフリー・クルシンスキ中佐が、バージニア州アーリントンの駐車場で女性に対する強制わいせつ事件を起こし、逮捕される事態も発生した。米国内では軍関係者の性犯罪について「組織的体質」に起因するのではないかとの指摘も上がっている。
 7日の会見で、この推計値やクルシンスキ中佐の逮捕について見解を問われたオバマ大統領は「これは新たな現象ではない」と述べ、米軍が組織的問題を抱えていることを示唆した。その上で「このような行動は、自らが着ている制服に対する裏切り行為だ。根絶のため、できる限りのことをする」と述べた。
 ヘーゲル国防長官も調査結果を発表した会見で「全ての隊員は尊厳と敬意に基づいて扱われなくてはならない。米軍の文化を変えていかなくてはならない」と強調した。
 国防総省は(1)通報システムの改善(2)教育システムの改善(3)軍法会議に関する制度の検証(4)被害者ケアの充実―などを強化すると説明した。