大浦湾に国内初確認のカニ 命名「ニシヒラトゲコブシ」


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 【名護】琉球大学大学院理工学研究科ジェイムス・ライマー准教授の研究室に在籍する藤井琢磨さん(26)が、名護市の大浦湾でトゲコブシ属のカニの一種を国内で初めて発見し、所属するダイビングチーム「すなっくスナフキン」の代表・西平伸さん(55)=同市瀬嵩=の名前から和名を「ニシヒラトゲコブシ」と名付けた。

9日までにオンライン学術誌で発表した。
 ニシヒラトゲコブシはこれまで、タイやインドネシアなど東南アジアで見つかっている。薄いピンク色の体に朱色のまだら模様が背中にある。甲長は約1・5センチ。ほぼ円形の甲の縁には9本のトゲがあり、細長い足を持っている。
 藤井さんは2011年8月、米軍普天間飛行場の代替施設建設予定地に近い、大浦湾の瀬嵩集落沖合約400メートル、水深15メートルの海底でトゲコブシを発見した。
 「地元の海を愛している知人の名前を付けたい」と考えた藤井さんは、和名を「ニシヒラトゲコブシ」と命名し、琉大熱帯生物圏研究センターの成瀬貫助教と共同研究を行った成果を、琉球列島の動物に関する情報を掲載するオンライン学術誌「Fauna Ryukyuana」に7日付で発表した。
 自身の名前が付いた西平さんは「チームのみんなが頑張った成果だと思う。うれしい」と喜んだ。
 藤井さんは「大浦湾はジュゴンやアオサンゴなどが注目される。だが、たくさんの小さな名もない生物が豊かな海を支えている」と語った。(仲村良太)

国内で初めて見つかり「ニシヒラトゲコブシ」の和名が付けられたコブシガニ=名護市の大浦湾(藤井琢磨さん提供)
藤井 琢磨さん
西平 伸さん