住民殺害 今も夢に 元米兵のドレイゴさん、沖縄戦体験語る


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画面に映るジョー・ドレイゴさんに質問するリアム・ドネリー君=10日、ニュージーランドの高校セントビーヅカレッジ(イーリさん提供)

 米兵として沖縄戦に参戦したジョー・ドレイゴさん(87)=米国在住=が10日、インターネット電話「スカイプ」を使い、ニュージーランドの高校セントビーヅカレッジの授業で、沖縄戦での体験を語った。沖縄戦体験の翻訳プロジェクトを進めるニュージーランド在住のマーク・イーリさん(55)の仲介で今回の授業が実現した。

生徒26人が授業に参加し、真剣な表情でドレイゴさんの話に聞き入っていた。
 ドレイゴさんは戦時中、第6海兵師団に所属していた。イーリさんによると、ドレイゴさんは沖縄戦から米国に復員するまでの体験を話した。激戦地として知られるシュガーローフの戦いで多くの同僚を亡くしたことや、恩納村で所属部隊が切り込み隊と勘違いして発砲し、多数の住民を殺害したことを涙を流しながら語ったという。
 同校で歴史を教えるカレム・ウィルソン教諭(29)は「戦争体験者の話を聞けるのは非常に貴重だ。ドレイゴさんが時折、涙を流していたのが印象的だった。それだけ沖縄戦への思いが強いということだろう」と話した。
 授業を受けたリアム・ドネリー君(16)は「恩納村でのことが今でも悪夢に出てくると話していたのが心に残った。沖縄戦のことは知っていたが、これほど悲惨な地上戦だったとは思わなかった」と感想を述べた。
 戦争体験者を探す中でドレイゴさんと知り合い、今回の企画を持ち掛けたイーリさん。ドレイゴさんも、教科書に載っていない歴史を少しでも若者に伝えたかったという。イーリさんは「ニュージーランドの人々に沖縄戦を知ってほしかった。しっかり準備してまたやりたい」と述べ、次回の開催に意欲を見せた。(大嶺雅俊)

英文へ→Still haunted by death of civilians