[キングス総括] 圧倒的な強さ披露


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
プレーオフ準決勝の決定戦、積極的なディフェンスで京都の攻撃を阻む並里成(中央)=12日、宜野湾市立体育館

 プロバスケットボールbjリーグの琉球ゴールデンキングスは、プレーオフファイナルズにあと一歩のところで手が届かずに2012―13シーズンを終えた。しかし開幕15連勝やリーグ最多勝利数の更新など、レギュラーシーズンでは圧倒的な強さを見せた。

プレーオフ準決勝で涙をのんだが、最後までキングスらしいバスケで観客を沸かせた。キングスの今シーズンを振り返り、来シーズンに向けた課題などを探る。

開幕から快進撃
 遠山向人ヘッドコーチ(HC)を新たな指揮官として迎え臨んだ今シーズン。キングスは持ち味の積極的なバスケで開幕から快進撃を続けた。15連勝中の平均得点は93点、平均失点は71点と相手を圧倒。飛び抜けたビッグマンがいない状況をカバーするため、運動量のあるバスケを展開した。高い位置でのプレッシャーやダブルチームなど足を使った守備も力を発揮し、レギュラーシーズン全体の平均失点は69・4とリーグ最少だった。

浮かんだ課題
 一方で課題もあった。試合を重ねる中で「勝つことに慣れ過ぎて持ち味の運動量のあるバスケがなくなっていた」と遠山HC。リーグの連勝記録を懸けて臨んだ昨年12月9日の福岡戦では選手の動きが硬く、リングに向かう勢いも連勝中に比べて落ちていた。また、リードしている場面ではプレーの荒さも目立ち、ターンオーバーやショットミスなどが増えた。3月9日の岩手戦では第4クオーターだけで17点差をひっくり返され、最後まで集中力を維持することの重要性を感じさせた。

悔やまれるPO
 金城茂之や山城吉超が復帰し、ルーキーの岸本隆一が加入するなどシーズン中は明るいニュースも多かった。けが人もなく万全の状態で臨んだプレーオフだったが、初戦に落とし穴があった。ゲームプランを意識するあまり、得意とする激しい守りやテンポの良い攻撃ができなかった。第2戦ではキングスらしいバスケを見せたが、決定戦の後半まで勢いが続かなかったことが悔やまれる。短期決戦で、いかにして相手より早くチームの持ち味を出せるか、課題と収穫のあったプレーオフだった。
 今シーズンはホーム戦で毎回3千人近い観客が選手を後押しした。強いキングスが多くの県民を魅了していることは間違いない。今シーズンの悔しさをばねに、来シーズンは王座に返り咲くことを多くのファンは望んでいる。
(平安太一)