義務教育未修了者 NPO、無償で授業


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算数の問題を解く嘉納初子さん(左)と石川静子さん(中央)=14日、沖縄市のエンカレッジ

 NPO法人エンカレッジ(沖縄市)はことし1月から、戦中戦後の混乱期に義務教育を受けられなかった人を対象に、無償で授業を実施している。県教育庁の義務教育未修了者支援事業の委託を受けたもので、県内では珊瑚舎スコーレ(那覇市)に次いで2団体目。

 支援対象はことし72~81歳になる人で、エンカレッジでは現在5人が勉強に励んでいる。1月から姉妹で通っている嘉納初子さん(80)=沖縄市、石川静子さん(78)=同=は「国語や算数を学ぶのが楽しい」とうれしそうに語った。
 主要5科目に加え、保健体育や家庭科の授業も実施している。3年間の通学で中学校の卒業証書が受け取れる。坂晴紀理事長は「勉強する生徒たちの表情はとても生き生きしている。ぜひ多くの人が学びに来てほしい」と話した。
 同庁義務教育課によると、エンカレッジによる事業開始で中頭地区に支援拠点が生まれ、未修了者の需要に応える受け皿が増えた。しかし県内には未修了者が約1600人以上いると推定される中で、エンカレッジと珊瑚舎スコーレで現在授業を受けている人は19人にとどまっている。通学に対する体力面の不安、高齢者が参加できる生涯学習機会の充実などが生徒が少ない理由として挙げられるという。
 同課は今後、さらなる事業内容の周知を進め、未修了者が支援をより受けやすくなるよう民間教育機関への事業委託の拡大を検討する。