自衛隊にオスプレイ 自民・防衛大綱提言骨子案


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【東京】自民党は17日、党本部で国防部会・安全保障調査会の合同会議を開き、政府が新たに策定する長期的な防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」に対する提言の骨子案を提示した。中国の海洋進出を念頭に、島しょ防衛の強化を打ち出し、垂直離着陸輸送機オスプレイの導入や水陸両用部隊の新設を明記。中国が領有権を主張する尖閣諸島をめぐる対処として、下地島空港を想定する拠点設置を盛り込むなど、県内自衛隊の機能強化を進める色合いの濃い内容となった。

 島しょ防衛強化には敵前に上陸して反撃拠点を築く海兵隊の機能を自衛隊に付与する必要性を強調。その上でオスプレイの導入を求めた。党内や防衛省内にはオスプレイの配備先に、先島や航空自衛隊那覇基地を挙げる声もある。
 昨年12月に中国機による尖閣諸島での領空侵犯が発生した際、那覇基地から緊急発進したF15戦闘機が間に合わなかったことを受け、航空の優勢確保のための補給拠点設置を主張。3千メートル滑走路がある下地島空港の活用などを想定する。防衛省は2013年度予算に同空港への自衛隊配置などを検討する調査費5千万円を計上してる。
 米軍普天間飛行場については移設先を名護市辺野古沖とした日米合意に基づいて前進させるとした。
 そのほか北朝鮮の核・ミサイル開発を踏まえ、敵基地攻撃能力の保持を検討するよう主張。海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載のイージス艦を含め、ミサイル防衛(MD)のための効果的な部隊配備、運用態勢の構築を図るべきだと明記した。巡航ミサイルを想定した敵基地攻撃能力の保持について「検討を開始し、速やかに結論を得る」とした。自主憲法制定による「国防軍」の創設も提起した。
 骨子案は防衛省が6月中を予定している大綱見直しの中間報告に反映させる目的で作成。党内議論を踏まえて、月内に最終決定し、政府に提出する。
 小野寺五典防衛相は17日の閣議後の記者会見で、防衛大綱見直しについて「与党の提言も踏まえつつさらに検討を進めていきたい」と述べた。