県出身・大城氏 新薬発明で最高賞 統合失調症を治療


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 公益社団法人発明協会は16日、同会主催の2013年度全国発明表彰で最高賞に当たる恩賜発明賞に、県出身で大塚製薬知的財産部顧問の大城靖男さん(68)ら3人を選んだことを発表した。治療効果と安全性の高い新規統合失調症治療薬「アリピプラゾール」の発明が高く評価された。

 大城さんは受賞について「身に余る光栄。私自身が(高度難聴という)障がい者なので、障がいに苦しむ人を助けたい気持ちで研究者になった。途中で諦めなかった結果、受賞することができた」と喜びを語った。
 大城さんは那覇市楚辺出身。1963年に那覇高校を卒業。大阪大学大学院工学研究科博士課程を修了し74年に大塚製薬に入社した。同社では、中枢機能改善薬の開発研究などに携わった。
 アリピプラゾールは前任者が79年から開発を始めたが、89年に開発が中止された。大城さんが引き継いだ後も失敗が続いたが、2002年に米国、06年に日本で販売にこぎ着けた。
 精神疾患の治療薬の多くは当時、副作用が激しく、使いにくいものだったという。「身内にと考えたら、ためらいがあった。安心して使用できる薬剤がほしいという一念で開発した」と話す。
 今では70カ国以上の国や地域で承認される薬となった。
 大城さんは現在、徳島県で新薬開発のアドバイザーをしており、直接沖縄との関わりはないが「有用な薬を開発することで、沖縄にいる患者やその家族の役に立ちたい」と語った。