自民「辺野古」明記せず 参院選公約原案


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【東京】自民党の参院選公約原案が18日までに判明した。米軍普天間飛行場移設について、「地元の負担軽減を実現する」などの表現にとどめ、日米で合意した名護市辺野古を移設先とする安倍政権の方針は盛り込まなかった。県外移設の方針を崩していない同党県連や県民感情に配慮し、移設先の明記を見送った。

 ただ、党はこれまで政権与党として日米合意を推進する方針を示しており、「辺野古移設」方針は変えない構えだ。党は22日の全国政調会長会議で原案を示し、31日に正式決定する。
 普天間移設に関する公約原案は「在日米軍再編を進める中で、抑止力の維持を図るとともに、沖縄をはじめとする地元の負担軽減を実現する」とだけ記した。移設先を明記しなかった昨年12月の衆院選政策を踏襲した形となった。
 自民党は参院選の公約づくりで、現実路線を重視。同党関係者は「15日の県連との話し合いも平行線に終わり、調整が難しい状況だ。政権与党だから、現時点でできることしか書けない」と説明した。参院選で野党の攻勢を避けたいとの思惑もある。
 安倍晋三首相は今年2月の日米首脳会談で辺野古移設の日米合意推進で一致。3月に辺野古移設に向けた埋め立て承認申請書を県に提出したことを踏まえ、党本部は公約に「辺野古」を明記する方向で、県連に対しても辺野古移設を公約に明記するよう求めてきた。だが、15日来県した同党の高市早苗政調会長が示した素案には「辺野古移設」や「日米合意」などの文言はなく、党本部が「県内移設」を明記しない代わりに「県外移設」も掲げないとの折衷案を提示、理解を求めていた。