普天間・嘉手納周辺 防音、認可外保育園助成なし


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(上)防音工事の対策 (下)防音工事補助の必要性

 【中部】米軍基地から発生する騒音に対し、国が実施している防音対策事業で、補助の対象外となっている認可外保育園が、米軍嘉手納基地、普天間飛行場周辺の補助対象の地域内に少なくとも89園あり、約3500人の園児が米軍機の騒音にさらされている実態が琉球新報社が実施した独自調査で明らかになった。

本紙は、対象地域内にある認可外保育園にアンケート調査を実施。回答を得た58園のうち、約7割の保育園が、負担が大きく防音対策を実施できない状況にあることが分かった。8割を超える保育園が、国による認可外への防音工事助成の必要性を訴えている。
 調査は、嘉手納基地、普天間飛行場の周辺にある宜野湾、沖縄、うるま、嘉手納、北谷、読谷、北中城村の計7市町村で実施。関係自治体に登録する計154園の認可外のうち、約6割が、国が防音工事の助成対象(住宅防音の場合)としている、うるささ指数(W値)75以上の騒音地域内に立地している。
 防衛省による防音工事助成の根拠となる「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」の施行令は、児童福祉法で定める公立保育所や認可保育園のみ補助の対象としている。認可外は対象外となっており、工事助成は受けられない。
 公立・認可保育園は、現地で騒音測定調査を実施して条件に達すれば、原則的に防音対策費用の全額補助を受けられる。
 沖縄防衛局の調べによると、7市町村内にある公立・認可保育園計111園のうち、開園前を含め6割を超える74園が助成を受けている。対象地域外の保育施設も助成を受けることが可能で、認可外への扱いとは対照的に手厚い配慮がなされている。
 アンケート調査で、7割を超える認可外保育園が、米軍基地の騒音により、保育活動への「影響がある」と懸念している。一方で認可外は、規模が小さく財政基盤が弱い園も多く、回答を得た58園のうち、39園(67・2%)が「負担が大きく防音対策は行っていない」と答えた。認可外への防音工事補助制度について、計50園(86・2%)が必要性を訴えた。
 調査は、防音補助の対象地域内にある認可外保育園を対象に、5月2日からアンケート用紙を配布し、13日までに回答を得た。