県内の体罰163件 教委把握の4倍超


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 県教育庁は20日、2012年度の1年間に、県内公立・私立の小中高校で起きた体罰が163件あったと発表した。統計は、教職員と児童生徒、保護者を対象に実施したアンケートの結果。

昨年4月からことし1月までの間、同庁と市町村教育委員会が把握して国に報告した37件と比べ、4倍超の件数に上った。県教育庁が年間を通しての体罰の件数をまとめたのは初めて。諸見里明県教育長は「体罰は人権侵害行為であり、絶対にあってはならない。根絶に努める」とコメントした。
 調査によると、体罰の内容は「素手で殴る」が最も多く、102件。次いで「蹴る」が16件、「殴る、蹴るなど」が15件、「棒などで殴る」が6件、「投げる・転倒させる」が3件、「その他」が21件だった。重傷に至った事例はないという。
 体罰を把握したきっかけ(複数回答)は「教員の申告」が92件、「保護者の訴え」が70件、「児童生徒の訴え」が31件、「第三者の通報」が8件、「その他」が5件だった。
 県教育庁や市町村教委が昨年4月からの10カ月間に把握した数と4倍超の差があったことについて、同庁学校人事課は「体罰の被害が比較的小さい場合、校内での指導にとどめていた場合もある。今回の調査で児童生徒や教員の申告などによってそのような事例が明らかになったと考えられる」との認識を示した。
 諸見里教育長は「体罰は児童生徒に屈辱感を与え、心を深く傷つける人権侵害行為であり、絶対にあってはならない。今後、学校や市町村教委、関係機関と連携し、体罰の根絶に努めていく」とのコメントを発表した。同庁は、結果を17日付で文部科学省に報告した。

県内小中高校の体罰調査結果
把握のきっかけ