円安で燃料高騰 運送、漁業の経営圧迫


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 円安進行の影響で漁船やトラックの燃料価格が高騰し、県内の関係者からは「業務の切り詰めも限界に近い。経営が圧迫され、立ち行かなくなるのも目の前にきている」などと悲痛な声が上がっている。

事態を受けて全国のトラック協会は23日、都内で各地域の会長らが参加する千人規模の「燃料価格高騰経営危機突破全国総決起大会」を開き、現状打破を図る。全国漁業協同組合連合会も29日、高騰する燃料費への補助を国に要望する漁民大会を都内で開催する。
 県トラック協会(国吉保武会長)によると、運送費は2004年ごろからほぼ据え置きが続いており、燃料となる軽油価格は04年ごろの1リットル当たり80円から、現在は56・3%~62・5%増の125円~130円へと跳ね上がっている。
 昨年の同時期と比較しても5~10円ほど上昇。高止まりしていた価格を円安がさらに押し上げた格好だ。1リットル当たり1円値上がりすると、6千台を保有する同協会全体の換算では年間8千万円ほどの燃料費増が見込まれており、経費の増加は各事業者とも経営に直結する問題として不安を募らせる。
 同協会では定期的に省エネ運転講座を開催するなど、効率的な運送業務へ協会を挙げて取り組んでいる。しかし、切り詰めに努めても、上昇分を穴埋めできないのが現状だ。
 金城弘子専務理事は「荷主へ負担を強いれば、消費者への価格転嫁になる面もある。負担増をお願いしにくい状況があり、各運送事業者が自己負担している」と説明。「走れば走るだけ赤字という状況が迫っている。全国大会ではこの現状を共有し強く訴える」と強調した。
 漁船についても燃料費高騰は深刻だ。県漁業協同組合連合会の国吉真孝会長によると、使用するA重油の1リットル当たりの価格は、70円台で推移していた昨年から10円以上高騰し、90円近くにまで上昇。加えて5月の大型連休以降の行事の減少などから、水揚げ量は安定しているが、例年同様に需要が落ち込み単価が下落している。特にキハダマグロなどシーズンに入り漁獲量の多い魚種は、22日の泊魚市場での競りでも年平均単価の半分ほどにとどまり、燃料費高騰とのダブルパンチに苦慮する状況が続いている。
 国吉会長は、操業コストの3割を燃料費が占めると指摘した上で「経費が上昇すれば、当然手取りは下がる。採算割れする漁船もあり、漁民の生活は苦しい」と訴えた。
(外間崇、長嶺真輝)