糸満の未収骨壕確認 遺骨収集センター


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 【糸満】沖縄戦戦没者の遺骨収集作業に関する情報の一元化を進める県の「戦没者遺骨収集情報センター」(糸満市摩文仁)は、2011~12年度の調査対象地域だった糸満市の調査を3月までに終えた。

同市の調査では、240カ所の壕やガマの位置を把握し、このうち四つの未収骨壕を確認。これまで民間ボランティアなどが独自で把握していた壕やガマの位置、収骨の有無などの情報一元化が進み、遺骨収集作業の効率化が期待できる。6月からは八重瀬町、南城市へ調査範囲を拡大する。
 遺骨収集センターは11年7月、県平和祈念公園の管理団体が県から事業委託を受けて設立。戦没者の遺骨に関する情報収集や管理を担う、全国的にも珍しい組織だ。
 糸満市内の調査では、糸満市史に記載されている壕やガマの位置情報を基に、センター職員が関係者への聞き取りを実施。実際に現地で壕の位置を確認した。
 今回確認された未収骨壕のほとんどは、民間ボランティアでは入るのが難しい「埋没壕」。国も過去に調査を実施したが、地盤の問題などで中断したままとなっている。一部の埋没壕には、今でも100柱以上の遺骨が眠っているとみられている。同センターから情報提供を受けた県は、今後、国へ再調査を要請する考えだ。
 八重瀬町や南城市は、壕の位置情報を記した資料が少ないため、戦争体験者への聞き取り調査に力を入れる。仲宗根辰雄センター長は「戦争体験者の記憶が薄れる前に、一歩一歩、できるだけ多く情報を集めていきたい」と意気込んだ。収集した壕の位置情報や収骨の有無は今後、県のHPで公開する予定。
 同センターへの問い合わせは(電話)098(997)4123。(梅田正覚)