要件緩和に異議 「96条の会」発足


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「96条の会」を発足し、記者会見する(右から)山口二郎北海道大教授、樋口陽一東大名誉教授ら=23日、千代田区の衆院議員会館

 【東京】憲法改正の発議要件を緩和する憲法96条改正に反対する有識者らが「96条の会」を発足し、23日、代表の樋口陽一東大名誉教授らが衆院議員会館で記者会見した。

会見では96条改正について「憲法の存在理由そのものへの挑戦だ」などとする声明を発表した。
 発起人は憲法学者や政治学者ら36人で、9条改正を唱える改憲論者も名を連ね、護憲論者、改憲論者が主張の違いを超えて大同団結した。樋口氏らは会見で「この国の民主主義はかなり危険な曲がり角に来ている。96条を守れるかどうかは権力を制限するという立憲主義にかかわる重大な問題だ」と改憲を目指す安倍政権を糾弾した。
 自民党などが発議要件を衆参両院の3分の2以上の賛成から過半数にすることを主張していることについて、樋口氏は「ゲームの当事者がルールを変えていいのか。改憲には慎重さが求められるため3分の2という制限がある」と指摘。他国で改憲要件緩和のための憲法改正した例は「聞いたことがない」とした。
 9条改正が持論の小林節慶応大教授も「96条改正は憲法破壊だ」と指摘した。山口二郎北海道大教授は「保守政治、日本の政党政治の劣化だ」と批判した。
 96条の会は今後、賛同する学者を増やすことを目指すほか、ホームページにQ&Aなどを掲載して改正の問題点を訴えていくという。6月14日には都内でシンポジウムも開く。