【東京】公務中の在日米軍軍人による2009年~11年の死亡・傷害事件事故188件のうち、3件が処分なしで処理されていたことが分かった。
懲戒処分がほぼ全件の185件で、軍法会議にかけられた事案はゼロだった。「処分なし」の理由については、「事件関係者の名誉保護や米軍との信頼関係から答えを差し控える」(法務省・稲田伸夫刑事局長)とし、明らかにしなかった。
日本国内で起きた事件事故にもかかわらず、公務中の米軍人被疑者がなんら処分を受けず、日米地位協定により米軍人が特別扱いされている実態が浮き彫りになった。法務省が23日の衆院安全保障委員会で、赤嶺政賢氏(共産)に答えた。
「処分なし」の処分はいずれも4週間未満のけがを負わせた傷害事件・事故に対するもの。10年に2件、11年に1件となっている。
188件のうち、死亡と4週間以上の重傷を負わせた事件事故は計25件で、懲戒処分での対応だった。
赤嶺氏は「どういう判断で『処分なし』となったのか、説明をするのは最低限必要なことだ。被害者本人、遺族にさえ明らかにされない」と指摘し、被害者や自治体に処分内容を通知する仕組みを構築すべきだと強調した。
これに対して、岸田文雄外相は「米国の個人保護法との関係もあるが、被害者の立場に立って鋭意検討したい」と述べ、外務省で検討する意向を示した。
公務中の米軍人の犯罪は地位協定で、第一次裁判権は米国にあると定めている。
英文へ→Three cases involving military personnel on duty not being subject to punishment