国内初、モエビ科の一種 下地島海底洞窟でNPO確認


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 NPO海の自然史研究所(藤田喜久代表)の調査団が3月に下地島(宮古島市)で実施した海底洞窟調査で、国内初確認種もしくは新種の可能性が高いエビやカイメン類などが発見された。伊良部島・下地島生物相調査プロジェクトの一部として実施された。

藤田代表によると、国内初確認となるモエビ科(カリアスマータ属)の一種を確認したほか、カイメン類は採集した25種のうち24種が国内初確認、もしくは新種の可能性が極めて高いという。
 国内初確認されたモエビ科の一種は全長3センチほど。世界ではハワイ諸島、ツバル諸島、シナイ半島の9カ所のアンキアライン環境(地下で海域とつながる汽水環境)でのみ発見されている。
 モエビ科の一種が採取されたのは今回の調査の主な舞台となった洞窟内の淡水の影響を受けているとみられる場所。水深30メートルほどに開口部がある洞窟を100メートルほど進んだ最奥部にあるエアドーム(水面に上がれる空間)付近で、藤田代表はほかの発見場所との生息環境の類似性を指摘している。
 藤田代表は「宮古諸島は全体が琉球石灰岩でできており、海や陸を問わず、大小さまざまな海底洞窟がある。独特の生物が生息するはずだが、まだ十分に調査されていない。今後も重要な発見が続くと考えられる」と指摘した。(石井恭子)