基地問題、発信が重要 マコーマック氏ら議論


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「沖縄の怒りを世界に発信する」ことの意義などを話し合うシンポジウム=24日夜、東京都の文京区民センター

 【東京】オーストラリア国立大学のガバン・マコーマック名誉教授(日本、東アジア近現代史)とカナダ在住で平和団体ピース・フィロソフィーセンター代表の乗松聡子氏らによるシンポジウム(平和を考える編集者の会主催)が24日夜、東京都内で開かれ、沖縄の基地問題を発信することの重要性について議論を深めた。

 2人の共著「沖縄の〈怒〉日米への抵抗」の出版記念で、高橋哲哉東京大大学院教授とライターの知念ウシ氏も加わった。
 乗松氏は本土で基地問題への関心が低い背景に関して「日本メディアはオスプレイが国外の合同訓練に参加したときは『普天間基地所属』と有用性をアピールするが、韓国で所属ヘリが墜落した時は『普天間』の名称は一切出さなかった」と指摘。情報が操作されているとの考えを示した。
 マコーマック氏は「米中接近など国際情勢は変化している。安倍政権は国際世論に配慮し、靖国参拝や歴史認識については主張を変化させつつあるが、沖縄に基地を集中させる方針を変えていない」と述べ、対米従属が問題の根本にあるとの見方を示した。
 普天間飛行場の県外移設が全国的な議論になっていない現状について、高橋氏は「政府批判はあっても、政治家を選んだ有権者の責任は問われなかった。問題に向き合いたくない人たちから激しい批判を受ける可能性はあるが、県外移設を訴える中で国民の責任も問う必要がある」と訴えた。
 シンポでは中国が尖閣だけでなく、「琉球の帰属」にも言及し始めていることへの警戒感が沖縄にないという声も上がったが、知念氏は「ウチナーはウチナーのものだと中国にも淡々と主張すればいい。沖縄はこれまでも日本や米国という大国に抵抗してきた。もう一つ主張をぶつける国が増えるだけだ」と話した。