【東京】父が宮古島市出身で、天文学者として活躍する島尻芳人さん(31)=埼玉県=が、6月からフランスの国立サクレー研究所に採用された。
日本人の採用は珍しいという。父、芳一さんの故郷、宮古島市平良島尻に里帰りするときは、持参の望遠鏡で星を観察していたという芳人さん。「宮古島では星がきれいに見えて、うれしかった。星が生まれる謎の解明を進めたい」と話した。
芳人さんは埼玉県生まれ。上智大から東京大大学院に進み、2010年から国立天文台野辺山宇宙電波観測所(長野県)の研究員を務めていた。“星のゆりかご”と呼ばれる分子雲の中で、星の元がどうやって生まれるかを研究してきた。
芳人さんのチームは野辺山と南米チリにある巨大な電波望遠鏡を使ってオリオン座を観察。ある星から噴出したガスが、周辺の星の形成を誘発している可能性があると発表した。成果は国際学会で発表され、サクレー研究所に招かれた。
星の成り立ちについて分かっていることは少ない。「天文学は、自分が生きている間に全てが分かる学問ではないが、少しでも研究が進むよう頑張りたい」と語る芳人さん。2年前、宮古島市立宮島小学校で、子どもらに天文学の講演をしたことにも触れ「将来は、沖縄など大学に天文学の学部がない所で、教える仕事をしたい」と話した。(島洋子)