赤血球製剤 県内で不足慢性化


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 手術や交通事故時などの輸血に必要な赤血球製剤が県内で不足している。1994年度から3年度を除き、慢性的な不足状態が続いている。2012年度は県外の血液センターから400ミリリットル献血約3千人分に相当する6065単位を譲り受けており、県内で献血業務が始まった1967年以降、過去最多となった。

県赤十字血液センターは「10~20代の献血者の減少が背景にある」と指摘。同センターの上江洲富夫事業部長は「少しの勇気で助かる命があることを知ってほしい」と述べ、献血への協力を呼び掛けている。
 県赤十字血液センターは県外の血液センターと連携し、赤血球製剤の不足時には他県からもらい受け、在庫が十分にあれば、不足している県へ提供している。県内の不足傾向は2013年度も続いており、特に5月12日からの1週間は、県外の血液センターから400ミリリットル血液149人分に相当する298単位の提供を受けた。
 同センターによると、約20年前までは10~20代の献血者が多かったが、年々減り続け、最近は40~60代の献血者が増えているという。06年以降は、10代の献血者が最も少ない。
 上江洲部長は「以前は県内全ての高校に献血車を派遣していたが、現在、受け入れてくれるのは6割ぐらい。大学は県内のほとんどで実施しているが、献血者自体が減っている」と説明。献血推進課の照屋喜久夫課長は「献血車の巡回が可能な事業所があれば、市町村を通して申し込んでほしい」と協力を求めた。(高江洲洋子)

<用語>赤血球製剤
 献血は200ミリリットルまたは400ミリリットルを採血する「全血献血」と、血漿(けっしょう)や血小板といった特定成分だけを採血する「成分献血」に分かれる。全血献血は遠心分離して赤血球と血漿に分け、うち赤血球を「赤血球製剤」と呼んでいる。他県から不足分をもらったり、余る場合は提供したりする需給調整の基準として、200ミリリットルを1単位、400ミリリットルを2単位として計算している。

赤血球製剤の不足状態が続き、空いたスペースが目立つ保管庫=22日、那覇市与儀の県赤十字血液センター