「ブロードウェー 沖縄に」 西平さんが劇団設立


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ミュージカル「GUESS WHAT?」に出演する小川祥子さん(左)と西平士朗さん=19日、西原町上原の「スタジオパフォ」

 「沖縄からブロードウェーで活躍する人材を輩出したい」。そんな願いを込めた劇団「シアターハイライン」が4月から活動を始めている。活動拠点は西原町上原にある喫茶店の空き店舗を利用した「スタジオパフォ」。ニューヨークの伝統ある演劇学校で学んだ西平士朗さん(26)=那覇市=が主宰し、平日は演技のレッスンをしながら、土、日曜日に上演する。

西平さんは「小さなブロードウェーを国際通りに造りたい」との夢を実現するため、日々奮闘している。
 劇団は、作品ごとにオーディションを実施し、出演者を代える。上演する空き店舗にある観客用の椅子はわずか20脚。舞台もどんちょうもない。西平さんは「機材に頼れない空間なので、シビアだけど良い経験になる」と話す。
 西平さんは琉球大学在学中、ミュージカルの魅力に取り付かれた。2009年に卒業した後も演劇への思いは消えず、12年3月に渡米。多くのハリウッドスターを輩出した演劇学校で約1年間、演技と歌を学んだ。
 西平さんはニューヨークで学んだことで「演劇に貪欲になれた」と語る。同時に「沖縄には演劇を志す人を育てる場所が少ない」と実感した。「ニューヨークや東京で活躍する人材を沖縄で育てたい」と決意し、ことし4月に帰国した後、劇団を立ち上げた。
 最初に上演したのは、西平さんが台本や作詞作曲を手掛けたミュージカル「GUESS WHAT?」。出演者は西平さんと小川祥子さん(27)=琉大4年=の2人のみ。約1時間の上演中、14曲を歌い上げる。19日の上演に訪れた幸地キーシャンドゥ真希さん(20)=同3年=は「初めは、2人だけのミュージカルってどうなんだろうと思った」と話したが、鑑賞後は「照明だけで、役者の入りはけもない。こんなミュージカルは見たことない。歌も胸に迫るものがあった」と感動した様子だった。
 西平さんは今後、朗読劇や芝居の上演準備をしながら、新作ミュージカルの完成を目指す。「毎週のように上演する劇場を造りたい。喫茶店に来るつもりで来てくれたら」と話した。
 同劇団への問い合わせは(電話)090(8292)8621(西平)。
(仲宗根祐希)