戦争犠牲者を鎮魂 サイパン慰霊祭


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南洋群島での県出身戦没者のみ霊に手を合わせる慰霊祭の参加者ら=27日、サイパンのマッピー岬「おきなわの塔」(宜野座朝美氏提供)

 慰霊と交流のため北マリアナ諸島のサイパン島を訪れている、南洋群島帰還者会(平良善一会長)と県遺族連合会(照屋苗子会長)主催による慰霊祭が27日、マッピー岬の「おきなわの塔」で執り行われた。20~94歳まで45人が訪れた県内からの一行に加え、地元からも約60人が駆け付け、まぶしい太陽の下、69年前の南洋群島の激しい地上戦で亡くなった人々のみ霊に手を合わせた。

 この日は、サイパンの「慰霊の日」に当たり、慰霊祭では、北マリアナ旗、県旗、星条旗の半旗が掲げられた。ドナルド・フローレス・サイパン市長や駐在官事務所の日野耕治領事らも訪れた。県出身戦没者約1万2800人のみ霊が祭られる「おきなわの塔」で、照屋遺族連合会長の代理として参加した大城竹明副会長は「戦前、新天地の希望に燃えてカツオ漁やサトウキビ生産で暮らした県出身者は、思いもよらない戦争に巻き込まれて家族や友人を失った。敵味方なく、戦争の犠牲となったみ霊を慰め、平和を大事にしていきたい」とあいさつした。
 沖縄テニアン会の宜野座朝美会長は「高齢者が増えて参加遺族も50人を切り、かなり危機感はある。身銭を切ってでも、思い半ばで倒れ、この地で土となっている犠牲者の魂を鎮めに来たい」と語った。
 テニアン島のカロリナスにある「沖縄の塔」でも29日、慰霊祭が開かれる。