自殺相談 最多1660件 沖縄いのちの電話


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過去5年間の自殺志向電話件数

 自殺予防を目的に、悩み苦しんでいる人々から話を聞く「沖縄いのちの電話」に寄せられた「自殺志向」とみられる相談の件数が、2012年の1年間で1660件となり、1976年の開設以来、過去最多を記録したことが27日、分かった。2007年以来、毎年最多記録を更新している。前年は1057件だった。

 「沖縄いのちの電話」の国吉守理事長は、自殺志向の相談電話件数が増えた理由として「自殺予防の広報の拡充や、相談員の継続的活動によって電話での対応能力が上がり、応対件数が増加している。今後さらに相談員を増やすことで、より多くの電話に応えられる」と説明した。

 12年1年間にあった自殺志向の相談件数を年代別に見ると、40代が439件で最も多く、次いで50代が410件、30代が366件と、働き盛りの世代に集中し、20代が184件と続く。渡久山朝裕運営委員は「県内には厳しい経済状況がある。それが原因の精神疾患により自殺を考えてしまう人が多い。最近は20代の電話相談も増加傾向にある」と話した。

 県障害保健福祉課のまとめによると、12年の県内自殺者数は267人で、97年以来15年ぶりに300人台を下回り、減少率は全国1位だった。国吉理事長は「県や電話相談員が協力して自殺防止の活動を継続したことで、現在は自殺者の増加を食い止めている。1人でも多くの命を救うため電話相談員ボランティアに参加してほしい」と呼び掛けた。12年の電話相談員数は118人だった。

 「沖縄いのちの電話」では、6月6日から9月まで、毎週木曜日の午後7~9時に那覇市のカトリック安里教会で、電話相談員の養成講座を開催する。問い合わせは同事務局(電話)098(888)4747。