陶器形状データ化 3次元 型設計に利用可


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県工業技術センターが整備した「沖縄陶器形状デジタルデータ」

 県工業技術センター(比嘉眞嗣所長)は、県内から発掘された過去の陶器や沖縄陶器の代表的な作品など、陶器の形状152点を3次元データ化した。

コンピューターを使った設計支援システム(CAD)で新たに型を設計する際に利用できる「沖縄陶器形状デジタルデータ」として整備し、28日ホームページ上で公開した。今後、企業にCADを使った生産技術の移転などを進め、型の製造や陶器の安定生産につなげる。
 データは皿、椀(わん)、鉢、壺(つぼ)などの形状ごとに分類。形状を画像で確認することができる。県埋蔵文化財センターが発掘したかけらなどを基に平面図にまとめた資料を活用。同センターから図面の提供を受け、約100点以上を3次元化した。江戸後期から昭和初期にかけてのデザインで、そのほか工業技術センターが保管する現代の陶器もデータ化した。
 県の「多様な陶器生産システム構築事業」の一環。県内で生産される陶器は手作り生産が中心で、一定量の受注に対応が難しく量産化に課題を抱えているのが現状だ。
 同センターは3次元CADによる製図を基に、製品を自動生産するシステム(CAM)で、石こう型を加工する技術も確立している。一連の技術を県内関係企業へ移転し、各事業者の量産化の実現を目指す。CADデータは自由に編集できるため、センターの担当者は「データを基に設計、型製作が可能でオリジナル商品の開発にも生かしてほしい」と話した。(謝花史哲)