組踊、東京で研究上演 県外芸能と比較


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組踊「大川敵討 糺の場」の研究上演に参加する研究者や実演家ら=14日、沖縄国際大学

 沖縄国際大学の「琉球言語資料のデジタル化とその活用方法の研究」の一環で、組踊「大川敵討 糺(ただし)の場」が11月1日、東京の国立劇場で上演される。研究者による県外での組踊上演は、1936年の日本民俗協会による「琉球古典芸能大会」、91年の芸能学会と沖縄芸能史研究会による「能と組踊比較鑑賞会」に続き、3回目となる。

 研究上演は、能狂言や茶道などの伝統文化・古典芸能関係者に鑑賞してもらい、アンケート調査を通して、組踊の表現の独自性や県外の芸能との共通点を探る。また、研究者と実演家が一緒に舞台をつくり上げる過程で、稽古を映像などで記録。実演家がどのように唱えを発声したり、演技の間や呼吸をとったりしているのか明らかにする。
 組踊の指導は島袋光晴、親泊久玄。立方は両氏のほか、親泊邦彦、神谷武史、平田智之、玉城匠、宮城茂雄。地謡は中村一雄、仲村渠達也、宮里秀明、宇保朝輝、森田夏子、久志大樹。公演は組踊に加え、琉球舞踊かなの会(高嶺久枝会主)が琉舞を披露する。今月14日には、関係者の第1回会合が同大であった。
 研究代表者の狩俣恵一教授によると、組踊の研究はこれまで民俗学的・文学的な視点が中心だった。今回は士族文化の身体・言葉の表現に着目して調査する。狩俣教授は「琉球を日本の一地方ではなく一国としてとらえ、士族と庶民の文化を分けて考えることが重要だ」と話した。
 「琉球言語―」の研究は2012年度から始まった。日本学術振興会の科学研究費助成事業から、3年間で約3500万円の補助を受ける。組踊のほか昔話などを研究する。12年度は沖国大の特別研究費も活用し、国立劇場おきなわで組踊のシンポジウムなどを開催した。(伊佐尚記)