「へいわってどんなこと?」 日中韓で出版


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絵本を片手に講演する浜田桂子さん=25日、那覇市寄宮の那覇教育会館

 沖縄県子どもの本研究会(山内淳子会長)は25日、那覇市寄宮の那覇教育会館で、子どもと読書を考える定期講座「子どもの本の学校」を行った。今回は絵本「へいわってどんなこと?」を日中韓で共同出版した絵本作家の浜田桂子さんを迎え、講演会を開いた。

約80人が参加した。
 2005年、浜田さんら日本の絵本作家4人は「平和がテーマの絵本を共同出版しよう」と中国・韓国を代表する絵本作家に呼び掛けた。6年間の構想、意見交換を経て、一つの国で4人ずつ計12人がそれぞれ絵本を制作。11年から3カ国語で随時出版されている。
 日中韓共同出版の呼び掛けについて浜田さんは「近くの国同士が仲良くし、これから一緒に大きなことをしていこうという時代に、靖国問題や教科書問題で関係が悪化したことがきっかけだった」と話した。
 また「平和を語る絵本は、これまで戦争の怖さばかり描いてきた。平和のうれしさを描く本があってもいいのでは」との思いから、この絵本が生まれた。
 浜田さんは著書の「へいわってどんなこと?」の読み聞かせも行った。「へいわって ぼくがうまれて よかったって いうこと」と読み上げ、「平和とは戦争がないだけでなく、命の尊厳が守られている状態だ」と話す。
 この絵本では黄色が多く使われる。「戦争では、迷彩などの目立ってはいけない色が使われる。でも、黄色は人前で堂々と目立てる色」とその意味を語った。
 主催した子どもの本研究会会長の山内さん(61)は「慰霊の日がある前月にこのような機会に恵まれた」と喜んだ。参加した保育士の平田千悦子さん(48)は「他国と手をつないで絵本を作る素晴らしい取り組み。子どもたちにも読んであげたい」と話した。
 次回の「子どもの本の学校」では、6月9日に読谷村の読谷文化センターで、作家の長野ヒデ子・内田麟太郎両氏を迎える。入場料は前売り2千円、当日2500円。問い合わせは沖縄県こどもの本研究会(電話)098(834)5776。